新年のご挨拶
謹 賀 新 年
旧年中のご厚意に心より御礼申し上げますと共に、謹んで新年のお慶び申し上げます。
旧年中は引続きの新型コロナウィルス感染症の影響に加えて、ロシア・ウクライナの問題に端を発した極端な円安・エネルギー価格の高騰及び原材料価格の高騰を受けて、多くの中小企業が先の見えない不確実性に晒されました。コロナ禍にて毀損された財務健全性は、行動制限の無い一年間により売上高こそ回復の兆しを見せましたが、一方で利益率が極端に引き下がるというP/Lを形成し、結果としてB/Sの毀損が進みました。
コロナ禍でのセーフティーネット融資は、返済が開始される時期に到来しています。今後は多くの中小企業において、B/S及びP/Lの毀損のみでなく、CF(キャッシュフロー)の毀損も進行してまいります。又、長期金利の上昇傾向も明らかであり、個人では収入の増加が、企業経営では利益率の改善が果たされぬままに、物価高及びコスト高のみが先行しています。
企業の経営環境は、今後益々の二極化が進行すると考えます。財務的余力が有る企業は、この負のスパイラルより脱却するための投資を行い、創造的な事業を展開することが可能ですし、現況下においても財務的余力を有する企業は、既存のビジネスモデルや技術力等が他社と比較しても評価されている証左でもあります。一方で、コロナ禍にて毀損された財務内容を認める企業については、今後の対策にも限界があります。脆弱なB/Sでは資金調達が現実的ではなく、又B/Sが脆弱であるということは、それだけの既往債務を有しています。そのため、僅少な水準の利益計上を果たしたとしても、それ以上の水準の借入金返済を認めることが一般的であり、CFが成立しないケースが殆どであるからです。
リスクに備えることはつまり、財務的にはCFの多寡と内部留保(利益剰余金)の厚みしかありません。貯まったカネの殆どを固定資産への投資に回したり、節税のために利益を最小化して、目先の納税を回避した結果として内部留保の最小化を図ることは、経営的に誤りであると断定出来ます。多くの経営者は「未来」しか見ていませんが、未来を見据える前提として、「足元」がしっかりとしていなければなりません。ここでの未来とは、経営者の思い描く事業計画のことを指し、ここでの足元とは、B/S上の内部留保とCFのことを指します。
アジア太平洋マネジメントでは、既に脆弱な水準の財務レベルに陥った企業の再建と、現状では脆弱性を認めない企業の将来への備えを、財務的見地より総合的にサポート致しております。先ずは盤石な「足元」を築き、強固に足元を固めた上で「未来」を想像する。身の丈に合わない企業の成長(つまり、自己資金の準備も無く、借入金によってのみ投資を繰り返す行為)は、外部環境の変化により、儚くも破綻してしまいます。
企業経営に於ける持続的発展(Sustainable Development)を財務構造的に追求し、投資と留保、利益とCFの整合性を担保した経営コンサルティング業務を、本年も継続致す所存でございます。本年も、皆様方のご指導・ご鞭撻を賜りますよう、何卒宜しくお願い申し上げます。
令和5年1月1日
アジア太平洋マネジメント
代表 青木道生