新年のご挨拶
謹 賀 新 年
旧年中のご厚意に心より御礼申し上げますと共に、謹んで新年のお慶び申し上げます。
コロナ禍から脱却した日本経済は今日、極度の人手不足と物価高に見舞われており、特に中小零細企業にとって「経営環境が良い」という実感を抱くことが出来るケースは、珍しくなっています。更に、多くの原材料輸入先行型の中小零細企業にとって、昨今の為替レートは致命的であり、売上高の増加と原価率の高騰が並行し、結果として粗利率を引き下げている傾向が顕著です。
BtoB取引では、大企業相手の完全なる価格転嫁は容易ではなく、同規模の中小零細企業に対する価格転嫁では、相手方も少しでも安く調達したい意向は同一です。一方でBtoC取引においても、日本の消費者は、世界で最も高品質なモノを、世界で最も安く買いたがる傾向があります。政府は「生産性の向上」と「付加価値の向上」を繰り返しておりますが、「中小零細企業にとって、それは何か」と問われた際に、明確な解を持つことは困難でしょう。
急激に変化する市場環境に加えて、金融環境もまた、転換期を迎えています。日銀の利上げに伴い「金利のある世界」へ本格的に突入していく2025年において、企業の資金調達環境も変化を迎えていきます。積極的な設備投資や増加運転資金等、所謂前向きな資金については、金融機関も適正な金利を確保した上で、積極的な応需を行うことが想定されます。一方で、既往債務の償還に伴うキャッシュフロー不足や、赤字補填資金等、所謂後ろ向きな資金については、一層の信用保証協会頼みとなり、生きたカネと死んだカネに区別・区分が進んでいくと考えます。
多くの企業(経営者)が未来を語り、未来を夢見ていますが、「未来」を語るためには、「足元」を確認する必要が有ります。売上高や保有資産額として同程度の企業が存在していても、P/Lでの収益性やB/Sでの自己資本比率、また手元の現預金残高の多寡により、創ることが出来る「未来」は、物理的にも決して同じものではありません。目先の投資や目先の節税を繰り返していれば、B/SやP/L、CFの双方向より、企業の健全性を担保することは難しいでしょう。
アジア太平洋マネジメントでは、既に脆弱な水準の財務レベルに陥った企業の再建と、現状では脆弱性を認めない企業の将来への備えを、財務的見地より総合的にサポート致しております。先ずは盤石な「足元」を築き、強固に足元を固めた上で「未来」を想像する。身の丈に合わない企業の成長(つまり、自己資金の準備も無く、借入金によってのみ投資を繰り返す行為)は、外部環境の変化により、儚くも破綻してしまいます。
企業経営に於ける持続的発展(Sustainable Development)を財務構造的に追求し、投資と留保、利益とCFの整合性を担保した経営コンサルティング業務を、本年も継続致す所存でございます。本年も、皆様方のご指導・ご鞭撻を賜りますよう、何卒宜しくお願い申し上げます。
令和7年1月1日
アジア太平洋マネジメント
代表 青木道生